Shunzou's Diary

Shunzouの日記

社会人三年目 小説 ゼロムの物語(26)

大手芸能事務所の仕事をゲットしたゼロムは退職を決意することになる。このペースでクライアントをゲットすることが出来ればすぐに会社は拡大すると考えたからだ。今の会社で働きながら自分の会社を大きくするより、自分の会社だけに集中した方が効率よく感じたのだ。

 

 

 

 

 

ゼロムは直属の上司であるマネージャーに退職の意を表明し、その後部長面談を経て退職することになる。部長には辞めて何をするのか執拗に聞かれたが、独立という本当の理由は伏せておいた。競合しないとはいえ会社のクライアントに営業をかける手前その事実は伏せていた方がいいと考えたからだ。

 

 

 

 

 

急に会社の代表が変わるのは不自然と考えたコウは社長をしばらく自分にやらせてほしいと申し出てきた。ゼロムはそれを快諾する。

 

 

 

 

 

登記上社長ではないにせよ実質一国一城の主となったことを光は大いに喜んだ。男なら勝負してごらんなさいという気性が光の性格上の特質である。光の後押しにどれだけ助けられたのかいくら感謝してもしきれないのであった。

 

 

 

 

 

ゼロムは出勤最終日に同期たちに盛大に祝ってもらうことになる。20人ほどの同期が集まってくれた。そこでゼロムは飲み過ぎた。いつもなら帰宅時間や自身の動向を光に小まめに報告するのが習慣であったゼロムは朝方3時になっても光に連絡をしなかった。

 

 

 

 

 

帰宅したゼロムは途方に暮れることになる。マンションの鍵を閉められてしまったのである。何度もインターホンを押しても開けてもらえない。光の言い分はこうだ。連絡もよこさない男に上がる家はない。と。

 

 

 

 

 

頭に血が上ったゼロムは酔いのせいで暴挙に出る。何度も「開けろコラー!」とドアを思いっきり蹴っ飛ばした。感情剥き出しのゼロムは非常に怖い。鉄製のドアは傷だらけになり一部凹んでいた。近所の迷惑を考えたのか光はやっとドアを開ける。なだれ込むように部屋に入り込むゼロム。光は泣き崩れていた。とんでもないことをしたと思った。素直に謝っていればよかったのだ。光とゼロムは炎のような気性の持ち主である。ゼロムは光のためにいつもそれを封印していた。それが爆発するとこうなってしまうのだ。

 

 

 

 

 

「ピンポーン」

あまりの騒音に近隣住民が警察を呼んだようだ。ゼロムと光はインターホンを無視した。鍵も掛かっていたため警察は諦めて帰っていった。

 

 

 

 

 

散々なサラリーマン最終日を終えたゼロムであった。

 

Shunzou

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