Shunzou's Diary

Shunzouの日記

隔離病棟からの解放 小説 ゼロムの物語(34)

2016年5月21日、ついにゼロムは退院した。そして次の日には光に会いにいった。高円寺駅で待ち合わせた二人はすぐにお互いを見つけた。ゼロムは光に駆け寄り、そして力いっぱい抱きしめた。幸せを感じた。ゼロムを見つめる光の目にはまだ愛情があった。ゼロムは安心した。2ヶ月半もの間、会うことができなかった二人のお互いへの愛は微塵も変わってなかったのだ。ゼロムは今後の意気込みを話した。自分の会社では平社員からスタートすること。光のことをもっとこれからは大事にしようと思っていること。幸せだった。光と一緒に過ごせる時間は幸せだった。時間はあっという間に過ぎ、別れの時間となった。以前と違い二人は一緒に暮らしてはいないのだ。そこが歯がゆかった。別れが惜しかった。実家に帰るとゼロムは安心からかすぐに寝てしまった。夢の中で光にまた会った。幸せだった。次の日からゼロムは平社員として自分の立ち上げた会社で働くこととなった。業務は今まで以上に大変だった。ゼロムは時給1000円で働くことになっていた。業務内容は今までの営業や業務管理と違いHTMLをいじったりする仕事内容だった。ゼロムは今までそういった作業を全て社員に任せていた。そのためHTML言語の知識0からのスタートだった。大変だった。連日朝からきちんと出勤して社員たちに教わりながら作業を行うのだが、ミスがない日はなかった。ゼロムのミスはそのまま社員の負担へと直結した。ゼロムはいつも申し訳ない気持ちで仕事をするようになった。でも頑張った。早くお金を貯めてまた光と一緒に暮らしたかったからだ。慣れない作業を必死にこなした。だがミスは相変わらず起きた。ゼロムの精神は次第に疲弊していった。そのことに誰も気付いていなかった。表向きゼロムは明るく前向きに振る舞った。ここでの仕事を失うわけにはいかない。だがある日ゼロムは出勤のため実家の玄関で靴を履いているときに、動けなくなってしまった。会社に行きたくないと拒絶反応を起こしたようだった。母親が寄ってきて辛いなら休んでいいのよと優しく言った。ゼロムは泣き崩れてしまった。そして復帰以来始めて会社を休むことになってしまった。ゼロムは自分の弱さや能力の低さを呪った。どうしようもなかった。会社に行けなくなってしまったのだ。

 

 

Shunzou

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