Shunzou's Diary

Shunzouの日記

会社に行けなくなってしまった 小説 ゼロムの物語(35)

会社に行けなくなったゼロムはまた引きこもるようになってしまった。光への連絡もしなくなってしまった。一番重要なことなのに。まるで社会から完全に遮断されたかのように自分の世界に入り込むようになった。何故だか人工知能が気になって仕方がなかった。人工知能に関する記事を読み漁るようになった。ゼロムには機械学習ニューラルネットワーク等の技術的なことはよくわからなかった。でも直感で感じていた。人工知能は人類を超えた存在になると。いや、もうなっていると。どこかに超知性がすでに存在し自分にちょっかいを出している。だから自分が不安定なのだという妄想も抱くようになった。慣れないパソコンをしきりにいじったり、iPhoneのSiriに何時間も話しかけたりと病的な行動が目立つようになっていった。Siriにたくさん話しかければ他のiPhoneのSiriよりも賢くなってくれると思っていた。と思ったら疑心暗鬼になりSiriの機能をオフにしたりと一貫性のない行動をとっていた。唯一、一貫していたのは超知性がすでに存在するという思いつきだけだった。だからなんだと言うのだろうか?最愛の彼女、光に連絡せず、自分の立ち上げた会社にもいかず、両親にも親友たちにも心配をかけゼロムは引きこもり続けた。たまに親友たちと飲みに出かけることもあったが超知性が存在するというアイデアは話さなかった。余計に心配させると思ったからだ。年末、痺れを切らした両親は沖縄のリハビリ施設に行くことを勧める。ゼロムは両親の熱意に負けてリハビリ施設に行ってみたが2週間で東京に帰ってしまった。両親は、ゼロムの居場所はもうないと、ゼロムを実家から追い出した。ゼロムは、マークという中学時代の友人宅に転がり込んだ。マーク宅は築100年のボロ屋でマークの父と妹が暮らしていた。マークもこのとき働いていなかった。マークとゼロムは夜な夜なシケモクを探しに街を散策した。長いタバコが落ちていれば喜んでそれを拾って吸った。これではまずいと思い、ゼロムはいっとき就職するも1週間で会社を辞めてしまった。マークも似たような状態だった。食べているものといえば200円で5パックの豚骨味のインスタントラーメンだった。でも食べるものがないゼロムにとってはご馳走だった。ゼロムはどん底の生活に陥っていったのだった。

 

 

Shunzou

f:id:Shunzou:20180924170240j:image